【指定文化財】旧鈴木家住宅とは
旧鈴木家住宅の建物主要寸法
桁行(桁行両端柱真真):16.06m
梁間(梁間両端真真):9.117m
軒の出(側柱真より茅負下角まで):0.45m
軒高/正面(軒下叩天端より茅負下角まで):4.4m
軒高/裏(同上):2.8m
棟高(軒下叩天端より棟頂上まで):8.3m
床面積:141.28㎡
軒面積(茅負外下角内側面積):169.96㎡
屋根面積(平葺面積):240.57㎡
建築面積:146.49㎡
旧鈴木家住宅の道具設備解説
かまど神様
火難除けや悪病魔除けの神である。家を建てる時に、大工がその家の主人に似せて造った。いずれも面相は非常にこわい顔をしている。これは、家族の中に「ひがだたくり」(火にばかりあたっている怠け者)がいないか、火を粗末にする者はいないかと睨んでいるという。
囲炉裏
玄関を入ると土間に続いて囲炉裏がある。囲炉裏は食事や接客をする生活の場であり、家族が集う場でもある。座る場が定まっており、火の焚き口は「木尻」と言い、食事の世話をする嫁が座る。その左隣りは玄関に近く「客座」と言い、客が来た時に座らせる。木尻の向かいは「横座」と言い、家の主が座る。木尻の右隣は「嬶座(かかざ)」と言い、主の妻が座る。子供達は客がいないときには客座に座る。
水瓶
囲炉裏の傍らに水瓶が置いてある。水は飲み水やお茶、炊事用に使う。水瓶に入れる水は、井戸水や山から湧いた清水を利用する。水汲みは女や子供の仕事で、朝夕に手桶を持って水汲みに行く。雨が降ろうと雪が降ろうと、毎日欠かさず行うのが水汲みである。
嫁隠し柱
嫁隠し柱とは文字どおり“嫁を隠す柱”の意味で呼ばれている。囲炉裏の木尻の右側には料理や飲用のための水瓶があり、食事の準備をする場となっており、その傍らに嫁隠し柱がある。酒癖の悪い客の相手をしたくない時に、仕事をするふりをして柱の陰に隠れることからそう呼ばれている。
かまど
かまどは常時火種を宿す大事な場所となっている。大きな釜に水を張り、かまどに薪をくべてお湯を沸かすほか、薪の燃えかすを灰で埋めて火種を残し、早朝にはマッチを使わずに火を熾す。かまどの傍らにはうしもち柱があり、そこには火難除けや悪魔除けの神であると同時に、家内安全と繁栄をもたらす「かまど神様」が祀られている。
ねこげら・はげら
「けら」は昆虫の螻蛄(けら)に形が似ているので名付けられたと思われる。ねこげらは、薪や荷物を背負うときにクッションの役割として着る。はげらは、「羽げら」から転じてたものと思われれ、杉の皮を薄く裂いて外側を覆い、蓑と同様に雨合羽として着る。
えじこ
育児具、竹行李(たけごうり)、葛籠(つづら)などを代用するところもあるが、この地方では藁(わら)でつくった「えじこ」がある。えじこは、多分、嬰児籠(えいじかご)からなまったものと思われる。えじこの下に丸い棒(ころ)を挟み、揺れ動くようにして子供をあやす。
神棚
神棚にはお年神様を祀るが、本来はお年神様の神棚は恵(あき)の方角に作った。恵の方角はその年によって異なる。甲(きのえ)と己(つちのと)の年は寅卯の間(東北東)、乙(きのと)と庚(かのえ)の年は申酉の間(西南西)、丙(ひのえ)と辛(かのと)と戊(みずのと)と癸の年は巳午の間(南南東)、丁(ひのと)と壬(みずのえ)の年は亥子の間(北北東)に作り、年徳大膳神(としどくだいぜんのかみ)の御神札を貼り、小さな松飾、御幣札(ごへいそく)、お灯明(おとうみょう)を添えた。
長持
長持は主に近世の世に用いられた民具で、衣類や寝具の収納に使用された長方形の木箱である。箱の下には車輪を付けて移動の便をはかったものを車長持という。長持は代表的な嫁入り道具の一つでもあり、嫁入りに際して長持を運ぶ祝い歌は「長持唄」として伝承されたが、明治・大正時代以降、長持の役割は箪笥に譲られることとなった。