【指定文化財】旧鈴木家住宅とは
Genpediaとは
厳美の主な観光資源を詳しく解説したアーカイブ記事。その分野のプロフェッショナル監修による、厳美発信の詳細記事である。
今回の監修は…
厳美市民センター所長
参考資料…厳美地方の民俗資料 阿部正瑩著
旧鈴木家住宅のあらまし
旧鈴木家住宅は、もと市内舞川字折の口にあった。同家は屋号を荒谷屋敷と言い寛永19年(1642)の「相川村検地帳」にしるされている旧家で、代々の農家である。
建築年式は明らかではないが、構造手法からみて少なくとも18世紀中期を下らない構築と推定される。(約300年位前)
付近の同家墓地に正徳・享保・元文等江戸中期の古碑があり、古い家がらであることがうなずける。
外観は桁行約16.1メートル、梁間約9.1メートルの平入り直屋(すごや)で、寄棟の茅葺屋根を上げている。
主屋は、喰違い型四間取の床部分と主屋の4割強を占める台所・庭とからなる。回りの下屋柱と4本の独立柱(納戸にも1本)は自然の曲がり木を多角形に仕上げて用い、室内各部屋の仕切りは角柱を立てる。うし持柱は欅、その他の柱は栗材を使った手斧(ちょうな)仕上げになり土台のない「かのこ建て」である。外壁はすべて大壁式となる。台所・庭と各部屋には天井がなく、屋根裏の扠首(さす)構造がよく見通される。
四間取り直屋は、岩手県南・宮城県北地方に古くから広く分布する民家の型であり、当家はその原型をとどめていて壁の多い閉鎖的な家構、開口部にみられる敷居・鴨居の三本溝、長方形断面の柱などは古い民家の形式と言えよう。大黒柱にみられる縄をしごいた跡などに、この家の生活の古さが偲ばれる。
旧鈴木家住宅について
旧鈴木家住宅は、昭和51年に、所有者の鈴木直人氏がその場所に住宅を新築することとなり、一関市に旧住宅を寄贈され、一関市は同54年(1979年)厳美町の「一関市自然休養管理センター」敷地内に移し、農林漁業資料館として国の補助を受け、当初に近い形態に復元したものである。
昭和59年(1984年)には岩手県指定文化財となっている。
旧鈴木家住宅の所在地
旧所在地:岩手県一関市舞川字折の口59
現所在地:岩手県一関市厳美町沖野々116の6
旧鈴木家住宅の沿革
昭和54年4月1日 一関市民俗文化財に指定
昭和59年5月1日 岩手県指定文化財に指定